人生楽しいことばかり

に、したい人のつぶやき

閉店拒否@シアターサンモール

閉店拒否見てきました。ドタバタコメディで笑わせながらも最後で泣かせ……というよりもオタクの胸をぐさぐさ刺してくる。なんかタイミング的なものもあって色々考えてしまった。 千穐楽終わったので更新しました。 

 

閉店したい店員VS帰りたくない客って、いったいどんな導入でそんな状況になるのかと思っていたんだけど、わりとすんなりスッと違和感なくその流れに入ったの感心した。そんなに暇なら岡ちゃんワンオペで大丈夫なんじゃない?守さん先に帰りなよって思うんだけどそれはダメなんでしょうね。なんだヤクザ店長結構ホワイトじゃん!と思うなどした。最初のうちは店員側も客側も正攻法かつ穏便にことを進めようとしているんだけど、中盤の「強気で」と円陣を組むあたりから段々手段を選ばなくなるのが楽しかった。営業中の飲み屋に出前ピザとか絶対だめでしょって思うし、そのピザの配達員まで帰れないメンバーに加わってるし、ツッコミどころはたくさんあるのにテンポよく進行していくので見ている方もついつい気持ちよく流されてしまう。剣持さんはそんなにみんなに気前よく奢るならタクシー呼んで帰りなよって思うし、有坂さんも営業中の店がここだけなら普通に見つかるのでは?って思うし、赤荻さんの仲間はじゃあどこで待機してんのさって思うし。赤荻さんにこの店がスーパーから一番近いのかって聞かれた時に違うって言えばいいのに、正直にはいって答えちゃうところが岡ちゃんだよなあ……

 

16日のアフタートークで舞台上の食事はみんな本当に食べていると聞いたので、後半は特に注目して見ていていたんだけど、これ客役推しの人は推しが食事してるシーンをたくさん見られて最高なのでは…!? 当方石賀くんをガン見していましたが、ヤンキー役でふんぞり返ってピザを食べていたので服の上にパラパラ欠片が落ちて、それを拾って食べている姿にめちゃくちゃテンションが上がりました。中澤さんのバッグを投げるシーンの手前では食べかけのピザを置いて指先を拭いていて、あ~こうやってスタンバイしているんだなあと密かに感動した。次の流れのためにさりげなく動いてるところを見られたのが興味深くて面白かったし、そういう意味ではソファの位置を戻す様子とかも面白かった。ちなみにチューハイは氷結っぽい氷点だった。

 

いじりが苦手なので中澤さんへの当たりが強いのはちょっと気持ちがハラハラした部分。唯一帰れるメンバーの時は冷たく、停電騒ぎ以降は態度を一変させるとかでもよかったのでは。そもそも森山くんが普通に帰れるのでそれも少しおかしくはなるかもなんだけど。いじられも一つのキャラ立てになってるところあるから難しいな~と思うけれど、容姿いじりとかは少し胸が痛んでしまった。全体的にハッピーな舞台なのでそういう部分が徹底してくれてもよかったかな~と。希望です。

 

最後に守さんが帰りたかった理由を告白するシーン。好きなアニメキャラの生誕祭をするためと話して面々にドン引かれるんだけど、それに対して「引かれるのはわかっていたから言いたくなかった」「これは僕にとっては死ぬほど大切なことなんです」という守さんの叫びがオタクの胸に刺さりまくる……。 それに対して剣持さんも自分の帰れない本当の理由を明かして、「何が大切かは自分が決めればいい」という締めに持っていくんだけど、その時に守さんが口にする生きがいという言葉が、今の自分の状況にすごくハマってしまって、相乗効果的なアレですごくしんどくなってしまった。生きがいってもっと重くて厳格で簡単には口に出せないようなイメージがあったけど、そんなことないんだなとちょっと心が軽くなった気もした。

 

話は守さんを中心に進んでいくし、自分自身がオタクなのもあって、どうしても最後は守さんかわいそう……という気持ちになってしまうんだけど、あらためて見ると守さんも客側の帰れない理由に対して「どうでもいい」を連発してるんだよね。客側もすべてを正直に話していないメンバーもいるけれど、それぞれにそれぞれの大切な事情を抱えていて、だからお互いがお互いの事情の大切さを理解しなかったっていう図式になるの話としてすごく上手いな!と思った。メインテーマがきれいにおさまる話は気持ちいい。

 

ただ、オタクなので、初回こそ気にならなかったけれど、二回目以降は守さんの告白シーンで客席で起こる笑いがだんだんしんどくなってしまった。これは私の受け取り方の問題だし、毎回初回の人の方が多いだろうから当たり前だしもちろん責める意図はまったくないんだけど。初回観劇時の自分を含めあの場面でくすりとでも笑ってしまった人は、あの瞬間に守さんを取り巻く一人としてお話の中に組み込まれているのでは……といまさらながらに思ったりした。守さんを取り巻くマジョリティという舞台装置的な意味合いで。なのでそれに混じっても守さんの告白に刺されるし、混じらなくてもマジョリティに刺される。

 

 

そして岡ちゃんに対する感想。

将熙くん演じる岡ちゃんはちょっとチャラくて素直で、コンプレックスだったホクロを褒めてくれた守さんをとても慕っている男の子。守さんとの付き合いも長そうだし、日頃の習慣というくらいだからバーの仕事もそこそこ長くやっているんだろうなあと推測。尊敬する守さんに12時までに帰りたいから閉店すると言われて協力することに。

閉店するために注文を取るなと言われているのに日頃の習慣でついついオーダーを受けてしまったり、お客さんに接客態度に百点を付けられてウキウキでカウンターに戻ってガッツポーズ決めたり、守さんが優勢に立った時はハイタッチして一緒に喜んだりと、とにかくかわいくて無邪気。ちょっと重めの年下わんこ系な感じに加えて、橋本くんとの身長差(ウィキペディアで見たら8cm差でした)がすごくいい。

「閉店したい」という守さんと、「閉店させない」という客側とに比べて、岡ちゃんには強い動機がない。守さんの役に立ちたいから「閉店したい」側に属してはいるけれど、守さんが暴走した時(配電盤ぶっ壊した時とか、中澤さんを締め出そうとした時)はむしろ諫めていることが多いし、守さんに直接「無理ですよ、もう諦めましょうよ」って言ってしまうこともある。思い返してみれば岡ちゃんが能動的に閉店に向けて動いたのって、いちばん最初に井上さんの卓を荒っぽく片付けた時と、終盤の殺人犯の真似をした時の二回だけなのかも。

そういう印象もあって岡ちゃんの表情に注視していたんだけど、岡ちゃん、基本的に守さんを見てるんだよね。わかりやすく物事が起きたときはそれに反応するんだけど、判断に困るような場合はまず守さんを見てる。逆に守さんがいない時は諦めたような顔で客チームを見ているし、守さんがバックに下がると「どうするんだよこの状況……」とか呟いちゃう。岡ちゃんの比重はとにかく守さんに偏ってるんだなあと思った。つまり自分のコンプレックスを救ってくれた守さんこそが岡ちゃんにとっての「大切なもの」なのかもしれない。それなら守さんに対してやたらと重い描写も納得できる気がするし、後述する終盤の反応にも納得できる気がした。

で、そんな岡ちゃんの終盤のリリカ教官の話に対するリアクションについて、なかなか解釈がまとまらずにいた。だって岡ちゃんは守さんの大切なものそのものには興味はなくて、そのために閉店したいという守さんを手助けできるかどうかとか、守さんがそのことを自分に話してくれるかどうかという、あくまで小道具的な興味しかないと思っていたから。それがどんなにくだらない理由だろうと、守さんが大切なものであれば怒ったりはしないと思っていた。だけど「そんな理由だったんですか、俺殴られたんですよ!」と守さんを強く責めているし、その後の守さんの理由聞いて泣いてるんですよね。公演期間後半ほどそこは強調されていたように感じた。

なので、理由の内容如何ではなく、岡ちゃんにはリリカ教官の誕生日が守さんにとってどれだけ大切なものなのかが理解できなかったのかなと。そして自分が理解できないものをとても大切にする守さんを受け入れられなかったのかな。それなら「そんな理由」と責めるのも理解でき……るかなあ。守さんの話を聞いて、守さんがそれをどれほど大切にしているかを知って、守さんの大切なものを否定してしまったことを後悔して泣いてしまうのかな……難しい。守さんに枷を外してもらう時の「なんか、すみません」の「なんか」にすごく気持ちがこもっている気がして印象的だった。言葉にまとめられない岡ちゃんの気持ちの詰まった「なんか」って気がするので。

 

気を取り直して岡ちゃんかわいいポイント羅列

・守さんが頭を下げると必ず一拍おいて自分も後に続くところ。終盤の守さんが生誕祭の音頭を取る前にあらためて皆さんに頭を下げるところで、守さんの後ろで小さく会釈みたいな頭の下げ方するのもよかった。ちなみにその後最後のお客さんが来て追い返されるところ、店員二人は真ん中で顔見合わせて笑ってるんですよね。その前の「もう閉店です!」の笑顔も最高にいい笑顔なのでみんなに見てほしいし円盤にも視認できるようにおさめてほしい。

・トイレから出てきた客チームに取り押さえられるところ、寸前で包丁を左手に持ち帰るところが結構気になるんだけど、あれは剣持さんが取りやすくするためですよねたぶん。傷つけないように利き手じゃない方に持ち替えたのなら、岡ちゃんいい子〜〜!ってなる。

・殺人犯の振りするところ。包丁持ってダンス的な動きをするのも好きだし(土曜マチネだったか、ターンしてたの好きだった)、取り押さえられた後もしばらく演技続けてたの付き合いよすぎると思った。

・守さんに屍って言われた後に貞子チック(?)な感じでフロアに出てきた時の高音の「話し合いましょ」。カウンターに乗っかっているとき、体全部乗っけちゃって足バタバタしてる時もあった。かわいい。

・ 赤荻さん、ホシ=殺人犯の誤解を解くシーンがないので、最後まで岡ちゃん=地下アイドルの厄介ファンという認識のままなのではと心配してる。

・実は唯一劇中に名乗っていない岡ちゃん。井上さん回収の時に守さんが「岡安君」と呼ぶだけなので、たぶんお客さんは一人も岡ちゃんの名前知らない。生誕祭で自己紹介しようね。

・井上さんに赤ワインハーフボトル出す時に、グラスの底を指に引っかけて上にボトル乗せて運ぶ仕草が最高だったし、お注ぎしますも最高だった。

・寝ている井上さんを起こすのにめちゃくちゃ至近距離から耳打ちしたり、太ももを優しく叩いたりしてた。なかなか井上さんが起きなくて困ったように左から右から移動してたのかわいかった。

・生誕祭の準備始めてる時、ドリンクを作る岡ちゃんとケーキを作る坂本君がカウンターの中で会話したりたぶん器具の場所を教えてもらったりしてる姿が気になりすぎてその会話全部聞かせてくれって思った。

 

 

日替わり覚えてるところメモ(かなりうろ覚えです……)

・冒頭の岡ちゃんと守さんの会話、岡ちゃん「いいやつオーラ全開って感じだし、親には……」→「チーズフォンデュのフォンデュの部分」「ちびまる子ちゃんの花沢くん)の前髪」「プッチンプリンのプッチン」

・ほくろをからかわれていた岡ちゃんに、守さん→「そのホクロはチャームポイントだよ!」「僕なんてチョコチップメロンパンだよ」「僕の顔はまるで星空だよ」

・オオグソクムシの下りで剣持さんが中澤さんに→「生まれ変わったらダンゴムシになれ」「親がダンゴムシになれ」「家ごとダンゴムシになれ」「ダンゴムシとしか話せなくなれ」「首から下ダンゴムシになれ」

・伴ちゃんのミュージカル。内容は同じだけど途中で歌と動きが変わって、万来家点呼が万来家小さく前へならえに変更。

・殺人犯疑惑の岡ちゃんが守さんに言われて掃除に行くところの歌→シーソーゲーム、おどるポンポコリン、ラルクHONEY、HOWEVER、映像収録の回はなんでもない鼻歌でした。選曲が古い。

・酔っ払って寝た井上さんのセリフ→「お風呂洗っておきます」「お湯張っておきます」「アイロンかけておきます」「洗濯物は畳んでおきました」

・赤荻さんに岡ちゃんがカメラを向けられるところ、途中から一瞬ポーズを決めるようになって、ダブルピースとフレッシュポーズは確認。

・伴ちゃん、ピザを食べて→「うちみたいに焦げてる」「あの日の夕食もピザだった…」「家みたいにアツアツだあ」